柿右衛門色絵菖蒲文美人人形
江戸時代・17世紀末
高 38.2cm
売約済み
江戸時代の柿右衛門作品の中には、土型を用いて成形された犬や鳥、馬などの動物から、婦人や童子などの動きある姿を表現した人形まで、多くの立体作品が制作された。型を用いて作るとはいえ、全て手作業での制作ゆえ、轆轤を用いて成形する皿や鉢、壷などより、遥かに時間や高度な技術が必要であった。また型による成形の為、同じ姿の人形がいくつか伝世しているが、眉や眼の書き方一つで表情が異なり、衣装についても、一体ずつ違う文様が施される事で、各々が個性溢れる作品になっている。柿右衛門人形の魅力は、やはり色とりどりの衣装が有名であるが、この作品は波に浮かぶ深紅の桜花が小袖全面に華やかに描かれ、打掛の裏側より大胆に配された菖蒲が表へと連なる意匠が絶妙である。これらの柿右衛門人形は当時、西欧の王侯貴族にも人気が高く、宮殿を彩る装飾品として江戸時代に海を渡り、今なお多くの美術館やコレクターの元で愛玩されている。
「柿右衛門の世界展」朝日新聞社 1983年 出展作品
日本磁器赤絵の精華「柿右衛門」朝日新聞社 23頁 所載