江戸時代・17世紀末~18世紀初
径 21cm 高 4cm
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江戸時代・十七世紀末頃における柿右衛門様式の完成期を示す典型的な作品である。 力強い枝ぶりに、金彩と赤を用いて大輪の花を描いた梅の木の根元には、繊細な筆致で柴垣を描いている。また呼応する二羽の雉の一瞬をとらえた構図は、軽妙かつ躍動感に満ちた素晴らしい意匠である。 この作品は、轆轤成形後、土型を用いて十角に成形し、染付にて主たる文様を描き色絵で彩色をする、染錦手と呼ばれる柿右衛門作品である。 裏側は、縁に梅唐草文様をめぐらせ、高台内には古人(いにしえびと)銘を記す。
江戸時代・17世紀末
径 14.5cm 高 25.2cm
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アジア西域より金属製の扁壷が中国へと伝わり、磁器にて表現された明時代初期の焼物が柿右衛門様式にて忠実に再現された非常に珍しい逸品である。扁壷の表と裏側に、黒の輪郭線を用いて描いた粟と鶉の動きある構図は、柿右衛門様式を代表する意匠の一つである。瓢形の首には四弁の七宝文、上部には柿右衛門らしい朱赤を用いて菊花が描かれている。高台内には黒の絵具が塗り埋められているが、焼成時の窯キズを補強するための工夫である。黒色の色落ちを防ぐ意味で上から緑の色絵を塗っている事も、柿右衛門様式の約束事の一つ。西アジアの影響を受け作られたこの扁壷は、文化の流入や歴史を知る上でも貴重な作品であり、柿右衛門のみならず肥前有田磁器の中でも類例の少ない稀品である。
江戸時代・17世紀末
高 38.2cm
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江戸時代の柿右衛門作品の中には、土型を用いて成形された犬や鳥、馬などの動物から、婦人や童子などの動きある姿を表現した人形まで、多くの立体作品が制作された。型を用いて作るとはいえ、全て手作業での制作ゆえ、轆轤を用いて成形する皿や鉢、壷などより、遥かに時間や高度な技術が必要であった。また型による成形の為、同じ姿の人形がいくつか伝世しているが、眉や眼の書き方一つで表情が異なり、衣装についても、一体ずつ違う文様が施される事で、各々が個性溢れる作品になっている。柿右衛門人形の魅力は、やはり色とりどりの衣装が有名であるが、この作品は波に浮かぶ深紅の桜花が小袖全面に華やかに描かれ、打掛の裏側より大胆に配された菖蒲が表へと連なる意匠が絶妙である。これらの柿右衛門人形は当時、西欧の王侯貴族にも人気が高く、宮殿を彩る装飾品として江戸時代に海を渡り、今なお多くの美術館やコレクターの元で愛玩されている。
「柿右衛門の世界展」朝日新聞社 1983年 出展作品
日本磁器赤絵の精華「柿右衛門」朝日新聞社 23頁 所載
江戸時代・17世紀末
径 23cm 高 4.5cm
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型打成形により薄く精巧につくられた柿右衛門様式の十角皿。 濁手と呼ばれる乳白色の美しい素地に、吉祥のシンボルである常緑の竹や、春に先駆けて花を咲かせる梅、二羽の呼応する尾長鳥が繊細な筆致で表現されている。細密に描かれた深紅の羽を持つ鳥の姿は、実に優美であり、生命力に満ち溢れている。口縁部には華やかな花唐草文を巡らせ、縁に銹釉を施す。成形技術の高さや絵付の緻密さなど、盛期柿右衛門の特色が随所に見られる優品の一つである。
江戸時代・17世紀末
高 39.4cm
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柿右衛門作品は、皿や鉢・壷類の他に、土型を用いて犬や鳥・獅子などの動物や人形も多く作られた。柿右衛門様式の型物作品の中でも婦人人形は特に有名である。江戸時代に、その多くの作品が海を渡り、西欧の宮殿を彩る装飾品として王侯貴族の間で人気を博した。この作品の見どころでもある着物の意匠は、小袖に深紅の紅葉と丸文を散し、打掛には色とりどりの熨斗や梅流水を華やかにあしらっている。切れ長の目で艶やかな微笑を浮かべる表情や、そのしとやかな佇まいに、今まで多くのコレクターが魅了されたに違いない。美しい容姿と品格を兼ね備えたこの作品は、柿右衛門婦人人形の白眉といえよう。
江戸時代・17世紀末
径 24.5cm 高 4cm
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美しい乳白色の素地に、鮮やかな色絵で梅竹や虎を描いた、柿右衛門を代表する魅力溢れる優品である。見込には、大きく口を開けた虎が、春の訪れを歓喜しているかのように梅を見上げる姿が、繊細な筆致で表現されている。周囲にめぐらされた赤と金彩の唐花文様が作品に彩りを添えている。同意匠で寸法違いの皿が他にもあるが、その中でもこの作品は最大のものと思われる。歪みのない完璧な作行きから、盛期柿右衛門の成形技術の高さが窺える。
江戸時代・17世紀末
径 18.5cm 高 2.3cm
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松葉の先に新芽をつけた若松文を繊細な筆致で格調高く描いた作品。シンプルな和様の意匠であるが、その配置とバランスが絶妙である。縁に銹釉を施すことにより、見込に描かれた若松文が際立ち、白い地肌には美しい藍色が映える。側面の三方に配された唐草文は細い輪郭線の中を丁寧に塗埋め、その中央には梅文を描いている。高台内に記された「金」銘は、盛期柿右衛門の中でも、上手作品にのみ入れられた銘である。
江戸時代・17世紀末
径19.5cm 高4cm
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縁が丸く立ち上がった濁手の六寸皿。縁には鋸歯文をめぐらせ、見込には多寿・多子・多福の象徴である桃・柘榴・仏手柑の吉祥果が描かれている。果物に施された鮮やかな紅色が美しく、作品に力強い生命力を与えている。この皿と同じ図柄の小皿は、伝世品がいくつかあるが、この大きさの皿は、稀少であり佳品である。
江戸時代・17世紀末
径24.2cm 高11.6cm
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型打成形により、薄く精巧に作られた大振りの鉢。器形や手取りの軽さからも元禄期の技術の高さがうかがえる見事な作品である。濁手と呼ばれる艶やかな白磁が色絵の文様を引立たせている。見込に阿吽の意匠で鳳凰を配し、三方に力強い団龍と華やかな梅枝を描くこの器は、吉祥の雰囲気で満ち溢れていて美しい。外側には、呼応する鳳凰や梅、太湖石等を精緻な筆致で描き、余白のとりかたも絶妙で優雅な鉢である。濁手八角鉢の中でも、盛期柿右衛門を代表する傑出した名品であるといえよう。
江戸時代・17世紀末~18世紀初
径6.5cm 高4.3cm
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(左上)